筆者は非IT人材からITエンジニアへの転身を社内異動で実現しています。
今回は、社内異動によってITエンジニアになるために筆者が実践したことを紹介します。
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目次
実践1:自社サービスの環境構築
転職後の事業はIoTサービスを展開しており、筆者はその中でハードウェアの開発部門に所属しておりました。
ハードウェア開発においても図面を書いたり基板の動作を確認するだけでなく、開発したものがIoTシステムとして有効であるかを検証する必要がありました。
ただ、筆者が所属した当初ハードウェアの開発部門では自社のIoTシステム、具体的にはサーバーがほとんどアップデートされておらず、古い世代のサーバーを使用して検討を行なっていました。
話を聞いてみるとサーバーのアップデート方法が分からなかったり、頑張ってサーバーのアップデートを実施してもハードウェア開発としての成果とはならず人事評価されにくいという背景があったようです。
筆者はこれまでの開発経験において、自身で環境構築することについて
- 自分がやりたい時にすぐに検討を開始できる
- 同じ条件で検討できるため再現性を確保できる
- 環境整備のためのアップデートを通して自社のIoTサービス対する理解が深まる
といったメリットがあると考えたので率先して環境構築を進めていました。
環境構築そのものが人事評価に繋がってはいなかったかもしれませんが、再現性のある検討のおかげで後戻りなく成果を出すことであったり、他メンバーへの環境提供により信用が上がるといった恩恵がありました。リスキリングとしても製品展開しているIoTサービスの環境構築は実践的な勉強になったと思っています。ITエンジニアの部門に異動した今では、ハードウェア開発にいながらもIoTシステムの環境構築に取り組んだ筆者の取り組みが上層部の目に止まっていたのだと思っています。
実践2:IT資格(応用情報技術者)の取得
実践1の環境構築を行なっている中で実際のIoTサービスを扱うためにはITに関する総合的な理解が課題だと感じました。
特にネットワークやデータベース、コンピュータシステムに関しては自社IoTサービスに知識を応用できていないことを痛感しました。
体系的に学ぶということでは以前取得したITパスポート資格が体系的な知識獲得に役立ったことを覚えていました。
非IT人材がリスキングしてIT人材になるために役立った資格
ただ、実際のIoTサービスを扱うためには応用的なスキル獲得が必要となりました。
そこで、ITパスポートの上位資格である基本情報技術者、応用情報技術者の取得を候補に検討しました。
ITパスポートとの大きな違いとして記述形式の試験が追加されることでした。内容を確認したところ基本情報技術者はITエンジニアのプレイヤーとしての資質が問われ、応用情報技術者は技術的な内容が高度になるのは当然のことプレイヤーに加えマネジメントの資質も問われる試験だと感じました。
筆者自身は既に30歳を過ぎていたこともあり、一気にジャンプアップして応用情報技術者の受験を決めました。
応用情報技術者はITエンジニアやSEであれば取得必須と言われるような試験と聞いたことがあったので、ITのリスキリングとしても有効だと考えました。
公式サイトでも書かれている通り、スキルアップ・企業での活用・優遇は実際にありました。
社内の認定資格としてスキルマップ登録され、報奨金(5万円)も支給されました。
ただ学習を開始して間も無く、ハードウェア開発からカスタマーサービスの異動があり新しい業務を覚えるのに忙しくなってしまいました。
そのため、書籍よりも費用がかかってでも効率的に時間を使いたいと思うようになり、以前ITパスポート資格取得の際に活用したスタディング を今回も活用することにしました。
通勤や休み時間といったスキマ時間に学習できることと、気分が乗らない時でもスマホで軽く見るだけという低い障壁から学習開始することで結果としてギアが入って本格学習ということもよくありました。
無料講座 を受けてみて、自分に合うか確認してから受講するのが良いかと思います。
実践3:ITエンジニアとのコミュニケーション
実践1の環境構築と実践2の応用情報技術者の資格取得のおかげで、そこそこITを使える人というイメージがついたのか、IT活用に関する業務を任される機会が増えてきました。
例えば、
- 顧客対応ワークフローの作成と運用
- アプリの異常を検知したら自動で再起動するバッチ処理
- サービス提供先のアプリのバージョン情報を可視化
- IoT機器の自動キッティング
といったことをやっていました。
それまでは、IT活用のためのツール作成はほとんどを外部のITエンジニアに委託して作ってもらっていました。
ただ、ITエンジニア不足からの外注費の高騰やDXのための自社人材のリスキリングの流れもあり、自分に機会が巡ってきたようです。
一部の業務に関しては外部のエンジニアから引き継ぐために設計書やソースコードを基に継続的なコミュニケーションを取っていきました。
実際の業務でIT活用するにあたっては、社内インフラや運用するメンバーのスキル、コストといった様々な制約がある中で課題を解決しなければならないことを強く感じました。
エンジニアとのコミュニケーションに当たり気をつけていたのが、一般的なこと=Googleで調べれば分かることをできるだけ質問しないということでした。
引き継ぎも時間が限られるため、自社ITサービス独特の制約が何か?業務の中で工夫したことは何か?これまでどんな課題がありどのように解決したか、といったエンジニアの課題解決プロセスについての詳細を聞きたかったためです。
そのため、引き継ぎの打ち合わせ前には設計書やソースコードにおける不明点を事前に調べておくようにしました。
応用情報技術者のおかげで知識は強化されましたが、それでも打ち合わせの中で知らない用語は出てきます。そんな時はすぐにGoogle検索して、パッと出てこなかったら質問するようにしていました。
こうしたITエンジニアとのコミュニケーションが結果としてITスキル向上の鍛錬となりました。
実践4:転職サイトを活用した情報収集
転職サイトと書くと通常であれば転職目的と考えますが、求人情報はITエンジニアの求められるスキルや条件面についてリアルな情報収集として使えるツールにもなります。
業界の相場、つまりは
- 求められるスキル
- 年収 (そのスキルの希少価値)
- 勤務体系 (ワークライフバランス)
といった情報を把握することができるためです。
求人情報の中でも需要の高いスキルを獲得することは、自身の希少価値を高めることができます。現在の所属する会社でも優位性を高められる可能性は高くなることでしょう。
筆者はITエンジニアに転身した今でも定期的に情報収集を行い、優先順位の高いスキルが何かを模索し続けています。
ただし、希少価値が高いスキルは経験者募集であることも多いのが実情です。
そのため未経験からITエンジニアに転身することを考えるのではあれば、未経験向けのIT就職に強い転職サイトからの情報収集が望ましいです。
例えば以下のサイトが挙げられます。
いずれも登録は無料のため、まずは情報収集として登録しておくことをオススメします。
各サイトで得られる情報も変わってくるため全てのサイトに登録しておきましょう。
(1) 「マイナビIT AGENT」
国内最大級の転職支援実績を持つマイナビだからこそ、 全国の大手上場企業から人気ベンチャー企業、 隠れた優良企業まで、多くの人事採用担当者との間に太いパイプを持つ。
(2) 「IT求人ナビ」
IT業界での支援実績13年。未経験でも入社後にお給料をもらいながら教育を受けることができる企業をご紹介することが可能。
(3) 「社内SE転職ナビ」
社内SEの定義は「客先常駐なし」であること。エンジニア専門、かつアドバイザーに人数のノルマがないため、 一人の求職者にかける時間が通常のエージェントの2倍!
社内異動
上記の実践1〜4を通じたリスキリングの結果、組織再編の動きもありIT部門に異動となりITエンジニアとしての職務に就くことになりました。
異動理由を尋ねたところ、「会社としてIT開発の内製化を強化するにあたり、IT開発未経験であるがカスタマーサービスとしての自社サービス経験とITに関する業務に積極的に取り組んだ姿勢を見込んであなたを選んだ」ということでした。
社内異動と転職の違いとしては、社内異動は履歴書や面談では見えない当人の仕事ぶりを考慮して判断が下されているということです。
とは言えITエンジニアとしての製品開発は未経験でしたので最初は不安でしたが、異動先にはカスタマーサービスの経験を持つメンバーがいなかったこともあり、カスタマーサービスを支援するIT開発という立ち位置を確保する所から徐々に業務の幅を拡げることができました。
近年はDevOpsという単語もよく聞かれ、開発と運用(カスタマーサービスの一部)の連携が重要という考えが強くなってきたことも異動の背景にはあったかと察しています。
ITエンジニアとなり2年ほど経ちましたが、コロナ禍やDXによりITへの注目がこれまで以上に高まっていること、リモートワークとの相性が良さ(リモートワークの割合90%)は身を持って感じています。
ちなみに、株式会社メイテックの調査によるとIT系エンジニアの76.8%がリモートワークを実施しているとのことです。
転職について
ITエンジニアになるために転職するという考え方もあります。未経験の場合には真っ先に転職を考える方が多いかもしれません。
ただ、現在IT未経験の方がITエンジニアとしてキャリアを開始したいという話があった場合、筆者でしたらまずは転職ではなく社内異動を検討することを勧めます。
転職は筆者も経験しましたが、新しい会社での職場関係や組織文化に慣れることだけでも大変である上に、未経験の職種となると相当の苦労が予想されます。
IT未経験ではSESと呼ばれる「客先常駐」の求人が多いです。webでも検索すると分かりますがハードワーク&メンタル不調の代名詞のような職種です。
ラッコキーワードによる「客先常駐」へのサジェストを見ても「やばい」「辛い」「地獄」といった不穏な単語が並んでいます。
SESでは無い社内開発においてもITエンジニアは忙しく他メンバーの面倒をあまり見れないのが実情である上、リモートワークとなると管理職からのフォローも行き届きづらいと考えます。
未経験での転職となると収入が下がる可能性もあるかと思います。
社内異動が難しい場合には
ただITエンジニアとしてのキャリアを築きたくても社内でIT開発部門の求人が無い、異動したいと思えるような部門ではない、異動希望が通らないといった事情もあるかと思います。
そのような場合には、少なくともSESを避け以下のような自社開発や社内SEの転職に強い転職サービスを活用すべきでしょう。
先の実践4の情報収集と同じ転職サイトとなります。
いずれのサイトもIT業界に精通しており正確に詳細な情報が得られることから、情報収集・転職ともに有益なツールとなります。
(1) 「マイナビIT AGENT」
国内最大級の転職支援実績を持つマイナビだからこそ、 全国の大手上場企業から人気ベンチャー企業、 隠れた優良企業まで、多くの人事採用担当者との間に太いパイプを持つ。
(2) 「IT求人ナビ」
IT業界での支援実績13年。未経験でも入社後にお給料をもらいながら教育を受けることができる企業をご紹介することが可能。
(3) 「社内SE転職ナビ」
社内SEの定義は「客先常駐なし」であること。エンジニア専門、かつアドバイザーに人数のノルマがないため、 一人の求職者にかける時間が通常のエージェントの2倍!
まとめ
今回は、筆者が社内異動でITエンジニアになるために実践したことについて具体例を挙げて紹介しました。
- IT開発部門に配属する前からIT活用業務に取り組んだ
- 資格取得により体系的なスキル獲得と対外的な証明を図った
- ITエンジニアとのコミュニケーションからエンジニアの課題解決プロセスを学んだ
- ITに強い転職サイトから業界で求められるスキルについて定期的に情報収集した
あくまで筆者の一例であり、全ての方に適する方法では無いかと思います。
しかし、自業務にIT活用をすることや資格取得についてはどのような立場でも実行でき、また自分の糧にもなることかと思います。
筆者の事例が今後ITエンジニアとしてキャリアを開始したい人の参考になれば幸いです。
以上。